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建設業における原価管理の効率化:専用ソフト導入で利益を最大化!
建設業は、受注から完成まで長期間を要するうえ、人材不足や資材価格高騰など、多くの課題を抱えています。そんな中、利益確保のためには、これまで以上に正確な原価管理が求められています。しかし、現場ごとに発生する多様な費用項目を、Excelなどを使って管理するのは、時間と手間がかかり、ミスも起こりやすいものです。そこで注目されているのが、建設業専用の原価管理ソフトです。
建設業の原価管理ソフトを導入することで、以下のようなメリットがあります。
- 複雑な原価計算を自動化し、大幅な時間短縮を実現
- 手入力によるミスを減らし、精度の高い原価管理を実現
- リアルタイムな情報共有で、複数拠点での連携をスムーズ化
- 現場の負担を軽減し、人材不足対策にも貢献
本記事では、建設業向けの原価管理ソフトの選び方やおすすめソフトを14選紹介します。
さらに、それぞれのソフトが持つ特徴や機能、料金などを詳しく解説するので、ぜひ参考にして、自社に最適なソフトを見つけてください。
建設業向け原価管理ソフトとは?
建設業向け原価管理ソフトとは、建設業や工事業に特化した原価管理を支援するシステムです。Excelで管理していた工事台帳や原価計算を自動化し、業務の効率化を実現します。
従来のExcel管理では、以下のような課題がありました。
- 工事台帳の作成に時間がかかる
- 工事ごとの粗利や原価が把握しづらい
- 手入力による負担が大きく、ミスが発生しやすい
- 複数人での管理がしづらい
建設業専用の原価管理ソフトを導入することで、これらの課題を解決できます。
建設業向け原価管理ソフトでできること
建設業向け原価管理ソフトでは、以下のような機能が利用できます。
営業向けの機能
- 見積作成
- 受注登録
- 見積読込
工事担当者向けの機能
- 工事台帳の作成
- 予算管理
- 発注管理
- 日報入力
- 仕入伝票入力
- 原価集計
- 勤怠連動
経理担当者向けの機能
- 支払伝票入力
- 支払管理
- 売上・入金伝票入力
- 会計ソフトや給与計算ソフトとの連動
- 売掛金管理
その他の機能
- 原価の自動集計
- データ分析
- マスタ設定
- セキュリティ
- カスタマイズ
建設業向け原価管理ソフトのタイプと選び方
建設業向け原価管理ソフトは、大きく3つのタイプに分けられます。
1. 原価管理の関連業務も効率化するタイプ
原価管理だけでなく、見積作成、予算管理、支払管理、請求管理、入金管理など、原価管理に付随する業務まで効率化したい企業におすすめです。
- インストール型
代表的な製品として、SMILE V 2nd Edition コストマネージャー が挙げられます。
このソフトは、原価管理から発注、予算、支払、請求までをトータルにサポートし、幅広い業務の効率化に役立ちます。 - クラウド型
代表的な製品として、経営格差工事クラウド が挙げられます。
このソフトは、機能を工事業に必要な最小限に絞り、操作性をシンプルにすることで、誰でも簡単に使いこなせるように設計されています。
2. 他業務の効率化にも対応するタイプ
原価管理の前後の業務だけでなく、営業活動やバックオフィス業務など、さらに幅広い業務の効率化を図りたい企業におすすめです。
- クラウド型
代表的な製品として、使えるくらうど工事台帳V3 が挙げられます。
このソフトは、スケジュールやワークフローなどのグループウェア機能を備えているため、社内外とのスムーズな連携が可能です。 - インストール型
代表的な製品として、ANDPAD 引合粗利管理 が挙げられます。
このソフトは、顧客管理や案件情報、原価・粗利などの経営に必要な情報をダッシュボードに集約し、業務効率化から経営改善までを支援します。
3. 会計にも対応するタイプ(ERPタイプ)
会計機能を搭載したタイプ。請求や支払管理、会計業務までを効率化したい場合におすすめです。
- クラウド型
代表的な製品として、勘定奉行クラウド 建設業編 が挙げられます。
証憑を起点に支払業務まで完結し、Excelでの支払管理が一切不要になります。 - インストール型
代表的な製品として、e2movE が挙げられます。
一般会計・建設会計機能である「e2movE 会計」を加えることで、仕分け入力、財務諸表の作成、予実管理などの機能が利用できます。
建設業向け原価管理ソフトの比較ポイント
自社のニーズに合った原価管理ソフトを選ぶために、以下の3つの比較ポイントを参考にしましょう。
1. 自社基準に即した原価管理への対応可否
「工事進行基準で把握したい」「自社の定めた原価回収基準に基づいて原価を計算したい」など、自社で導入している計上方法に対応しているシステムを選びましょう。
たとえば、「どっと原価シリーズ」は、工事進行基準や原価回収基準での売上・収益計上に対応しています。
2. 日報管理機能への対応有無
日報の入力内容に応じて原価や労務費を反映させたい場合は、日報管理機能があるソフトを選びます。
「使えるくらうど工事台帳V3」では、現場の状況に合わせて、日報の入力方法を自由に設定できます。
3. 工事台帳などへの帳票出力の可否
工事台帳はもちろん、そのほかの帳票作成にも対応しているか確認しましょう。併せて、原価をどのような単位で分析できるかもチェックしておくと、プロジェクト改善や経営戦略の策定に役立てられます。
「使えるくらうど工事台帳V3」では、工事台帳に加え、契約金額、実行予算、請求・入金状況などの情報を一画面で把握できます。
おすすめの建設業向け原価管理ソフト(関連業務の効率化に対応+クラウド)
1. どっと原価シリーズ(株式会社建設ドットウェブ)
20年以上の歴史を持つ、建設業向けの原価管理システムです。インストール台数無制限で、必要な機能のみを選択して利用可能。使いやすさと柔軟性で業務の合理化と経営の効率化を両立します。
6階層までに対応した見積作成のほか、予算管理、発注管理、原価集計、支払管理、勤怠連動などの機能を搭載しています。
料金:月額23,000円/ライセンス(どっと原価3/スタンダードプランの場合)
詳細はこちら:どっと原価シリーズ
2. 経営格差工事クラウド(アクティブシステム株式会社)
シンプルな操作性に強みを持つ、中小の建設業向け原価管理システムです。原価管理に関わる様々な業務を一元管理。工事一覧表を見ながら請求・仕入などの入力や集計結果の閲覧が可能です。
Excelで行っていたような複雑な集計作業も不要になります。
料金:月額11,000円~
詳細はこちら:経営格差工事クラウド
3. レッツ原価管理Go2クラウド(株式会社レッツ)
わかりやすく使いやすいUIで、どの部門でも基幹システムとして利用できる建設業向け原価管理ソフトです。
シンプルなメニューと、証憑に近いイメージの入力画面、複式簿記を使わない入力方式が強みなので、デジタルや簿記に関する知識が少ない人でも簡単に使いこなせます。
料金:100万円/2ライセンス(ネットワーク版の場合)、保守費用50,000円/年
詳細はこちら:レッツ原価管理Go2クラウド
4. 工事原価Pro(株式会社 アイ・ジェイ・エス)
3,000社以上が導入している、低価格帯の原価管理ソフトです。7階層の見積りに対応しており、受注、発注、仕入、支払査定、支払通知、支払管理、入金管理まで連動します。
作業日報機能など、建築業・工事業に特化した機能がそろうので、工事台帳はもちろん、積算データの取込みや工事一式請求、出来高請求、支払査定、支払/入金消込などにも幅広く対応しています。
料金:年額13万2,000円/ライセンス
詳細はこちら:工事原価Pro
おすすめの建設業向け原価管理ソフト(関連業務の効率化に対応+インストール型)
1. 原価本家シリーズ(株式会社アイキューブ)
建設業界の生の声から生まれた原価管理ソフトシリーズです。日報入力、予算作成、出来高管理などができる「原価本家」、簡単な日報入力だけで給与計算、請求管理、支払チェック、現場別労務集計といった基礎データを作成できる「出面本家」など、シリーズの中から必要な機能を持つソフトを選んで組み合わせられます。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:原価本家シリーズ
2. 建設原価ビルダー3(コベック株式会社)
あらゆる運用方法に柔軟に対応する工事台帳管理システムです。業務フローに沿った簡単なデータ入力だけで、コスト管理に役立つ多彩な帳票を簡単に作成できます。
受注状況を一目で確認できる工事登録をはじめ、実行予算登録、出面管理、仕入処理、支払処理、売上・請求処理、入金処理、原価関連帳票といった基本機能を提供しています。
料金:12万円(スタンドアロン版)
詳細はこちら:建設原価ビルダー3
3. SMILE V 2nd Edition コストマネージャー(株式会社大塚商会)
原価管理とその前後の業務をトータルサポートする建設業向け原価管理システムです。
詳細な分析を可能にする実行予算入力と、発生した原価に基づく多角的な分析で運営をサポートします。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:SMILE V 2nd Edition コストマネージャー
おすすめの建設業向け原価管理ソフト(他業務の効率化にも対応)
1. 使えるくらうど工事台帳V3(アサクラソフト株式会社)
管理機能・グループウェア機能を搭載した建設業向け業務支援システムです。日報や工事台帳、原価管理、売上請求、仕入先、労務といった様々な管理業務が簡単な操作で行えます。
クラウドシステムかつスマホ対応なので、場所や時間を選ばず日報入力が可能。勤怠情報含む日報データは自動集計され、出面表や出勤表などの帳票として出力できます。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:使えるくらうど工事台帳V3
2. ANDPAD引合粗利管理(株式会社アンドパッド)
業務効率化から経営改善までを実現する、建設業に特化した基幹システムです。顧客管理、営業進捗、粗利・原価管理など、経営上の重要なデータを集約し、ダッシュボードでリアルタイムかつ正確に把握できます。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:ANDPAD引合粗利管理
3. サクミル(株式会社プレックス)
建設業の管理や報告書作成などの事務作業、現場作業を一元管理・効率化するクラウドサービスです。
顧客・案件情報管理から、写真台帳作成、作業日報、見積・請求管理、原価・粗利管理まで、現場担当者はもちろん、管理者や経営者にとっても役立つ機能がそろっています。
料金:月額4,000円(30アカウント分。以降1アカウントごとに100円)、初期費用なし
詳細はこちら:サクミル
4. プロワン(株式会社ミツモア)
電気工事や空調工事、リフォームなど、短期の現場工事を行う企業に特化した統合業務管理システムです。顧客管理や営業管理、収支管理など、幅広い機能を搭載しています。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:プロワン
おすすめの建設業向け原価管理ソフト(ERPタイプ)
1. 勘定奉行クラウド 建設業編(株式会社オービックビジネスコンサルタント)
制度対応と経理DXを両立できる建設業向けクラウド会計ソフトです。支払業務から適格請求書発行業務まで網羅的にカバーします。
料金:月額40,500円〜、初期費用 70,000円(中小企業向け/iSシステムの場合)
詳細はこちら:勘定奉行クラウド 建設業編
2. Sitrom-CC(シトロン-CC)(フォロス株式会社)
クラウド型の土木建設業向け工事管理・管理会計システムです。
原価管理と経営分析に必要な機能を集約し、リアルタイムでの処理を実現します。スマホや給与計算システムと連携し、勤怠から労務費を自動計算するなど、現場と管理部門の連携をスムーズにします。
料金:月額15万円 + 500円/ライセンス、初期費用200万円〜(工事原価オプションの場合)
詳細はこちら:Sitrom-CC
3. e2movE(三谷商事株式会社)
ローコスト、短納期での運用を実現する建設・工事業向けERPパッケージです。
「販売管理」「工事原価管理」「建設会計」を軸に、「支払管理」「手形管理」「出面管理」といった各サブシステムをパッケージ化しており、自社環境や必要な機能に応じてカスタマイズできます。
料金:要問い合わせ
詳細はこちら:e2movE
まとめ
紙やExcelで工事台帳を作成する手間をカットし、手入力によるミスを防ぐ建設業向け原価管理ソフト。
建設業や工事業にまつわる原価や粗利を的確に管理・集計する建設業向け原価管理ソフトは、大きく3つのタイプに分けられます。
- (1)原価管理の関連業務も効率化するタイプ
- (2)他業務の効率化にも対応するタイプ
- (3)会計にも対応するタイプ(ERPタイプ)
自社の環境に合ったソフトは、「自社基準に即した原価管理方法」「日報管理機能」「工事台帳などへの帳票出力」の有無といった点を比較することで吟味できます。また、(1)原価管理の関連業務も効率化するタイプであれば、クラウド型かインストール型かを検討することも必要です。
原価管理ソフトの導入は、原価管理前後の業務から営業活動、会計まで運営全体に関わる業務までの効率化につながります。企業全体の生産性アップのためにも、導入を検討してみてください。