AI契約書レビューサービス比較7選!機能や費用、注意点は?

契約書レビューを効率化させたい、リーガルチェックのコストを削減したいとお考えの方へ。

AI契約書レビューサービスの主な機能や費用の目安、比較ポイントなどを、おすすめのサービス・システムとあわせて解説します。

1. AI契約書レビューサービスとは?

AI契約書レビューサービスとは、契約書をアップロードするだけで、AIが自動で契約書レビュー(リーガルチェック)を行ってくれるシステムです。

AIが時間をかけずに契約書に潜むリスクを洗い出し、リスクやトラブルに対するフィードバックを受けられるため、従来の契約書レビューの課題であった締結までの煩雑なやりとりをなくし、業務の属人化を解消できます。

中には、レビューだけでなく、作成や修正、締結後の管理までサポートしてくれるサービスやシステムもあります。

2. AI契約書レビューサービスのメリット

AI契約書レビューサービスには、主に以下のような5つのメリットが期待できます。

(1)リーガルチェックの時間短縮

AIがリサーチに必要な文書を提示してくれるため、参考文献や過去の類似契約書、条文や判例など資料を探す時間を大幅に削減できます。Wordのアドイン形式で動作するサービス・システムなら、同一画面内に参考データをすべて表示して効率的に資料に目を通したり、引用したりすることもできます。

(2)契約リスクの軽減

契約書をアップロードするだけで、AIが自動的にリスクを洗い出し、指摘内容を表示します。中には不足条項をAIがサジェストしてくれるシステムも。知識や経験がなくても、チェックすべき部分を確実に把握できるようになります。AIと担当者でダブルチェックすることで、より網羅的に抜け漏れ・見落としを防止可能。担当者の精神的負担の軽減にもつながります。

(3)人的コストの削減

大半のレビューが自動化されれば、外部の弁護士へ依頼するコストはもちろん、内部でリーガルチェックを行っている場合の人的コストも大幅に削減できます。また、AI契約書レビューを使えば、高度な文書検索などのスキル習得も不要に。新人の教育コストが軽減される点もメリットです。

(4)契約締結スピードの向上

リーガルチェックにかかる時間の短縮化によって、契約締結全体にかかる期間の短縮化も図れます。特に、それまで社外の弁護士に依頼していた場合には、顕著なスピード向上が期待できます。また、現場担当者が契約書の一次チェックを行うことで、契約手続きの更なる迅速化にもつながります。

(5)組織としてのノウハウの蓄積

「使える条文・文例」などを登録して再利用するなど、データベースとして活用していくことも可能です。自社で作成したひな形や弁護士からのコメントなどもシステム上にまとめ、レビュー業務に関するノウハウとして蓄積することで、担当者の転職・退職・異動などのリスクを回避。企業としてより有利な契約書締結を目指せるようになります。

3. AI契約書レビューサービスの費用の目安

AI契約書レビューサービスは、レビュー件数ではなく、多くが利用ID数による月額制の料金体系です。料金は、「どんな種類の契約書をレビューさせるのか」「どこまで自社基準に対応させるか」などによって異なります。契約の複雑性や頻度など、自社の体制・予算に合わせて最適なものを比較検討しましょう。

費用を公開している主なサービスの料金体系は、以下の通りです。自社で利用するとしたら、いくらぐらいになるのか。概算を求める際の参考にしてください。

サービス名 料金 特徴
GVA assist 月額75,000円/ID アカウント費用ですべての機能を利用可能
LFチェッカー 月額9,000円 LegalForceによるAI契約書レビュー特化ツール
LawFlow 無料 2022年12月より全プランを無償化

4. AI契約書レビューサービスの機能

AI契約書レビューサービスは、「レビュー」機能のほかにも、「レビュー支援」「修正文作成の支援」「作成時の支援」「管理」など、様々なステップをサポートする機能を備えています。対応範囲はシステム・サービスにより異なるため、必要な機能を洗い出し、搭載の有無を確認するようにしましょう。

(1)レビュー支援

  • 自動レビュー機能:契約書ファイルをアップロードすると、AIが自動でレビューを実施します。
  • 差分比較機能(条文マッチング):条文単位で、登録された自社の契約書ひな形と瞬時に比較します。
  • 英文契約書のレビュー:海外取引特有の契約書チェックを行います。

(2)修正文作成の支援

  • 修正文例の自動提示:弁護士監修によるチェックポイントの解説も提示します。
  • 条文検索機能:キーワード検索で必要な条文を瞬時に発見します。

(3)作成時の支援

  • テンプレート/契約書ひな形集:実際の法律事務所が作成する書式・ひな形を多数搭載しています。
  • バージョン履歴管理:誰でも契約書の修正履歴を遡って確認できます。
  • 体裁補正:ケアレスミスの自動補正を行います。

(4)管理

  • レビュー状況の把握・管理:案件を適切に管理できます。
  • 契約書のデータベース化・管理:自社オリジナルのナレッジを蓄積できます。

5. AI契約書レビューサービスの比較ポイント

続いて自社に合ったサービス・システムを選ぶ上で気を付けるべきポイントについて、「業務範囲」「契約範囲」「自社ポリシー」「ファイル形式」「英文契約書」「効率化機能」の6つの観点から、具体例を挙げて紹介していきます。

(1) 自社の業務範囲に合っているか

前述の通り、レビュー以外にも修正支援、作成支援、管理など対応できる範囲は異なります。「現場レベルで契約書レビューだけできればいい」なら「インテリジェント契約チェッカー」や「LFチェッカー」、「契約書管理まで効率化したい」なら「LeCHECK」というように、適したシステムも変わってきます。自社の業務フローを洗い出し、課題感・要望に合ったものを選ぶようにしましょう。

(2) よく使う契約類型・準拠法に対応しているか

システム・サービスによって秘密保持契約、取引基本契約、ソフトウェア開発委託契約、不動産売買契約、賃貸借契約など、対象の契約書は異なります。自社がよく使う契約類型・準拠法に対応しているか事前にチェックしておきましょう。様々な種類の契約書をチェックする必要がある場合には、250種類以上の契約類型に対応した「GVA assist」のように、幅広く対応できるものがおすすめです。

(3) 自社ポリシーにどれくらい合わせられるか

自社特有の審査基準を多数設けている場合、一般的な契約審査基準に基づいたレビューだけでは十分とは言えません。その場合、「LegalForce」や「GVA assist」のように自社基準レビュー機能を持ったものがおすすめです。独自の修正方針・修正文例などを条文ごとに登録したり、重要度の設定を変えたりすることで、より自社のポリシーに沿った契約書レビューができるようになります。

(4) 契約書のファイル形式が合っているか

Word・PDFには大体のサービスが対応していますが、紙の契約書の取り扱いが多い場合は、OCR機能を搭載しているものを選びましょう。紙の契約書も写真に撮ってアップロードするだけで、以降はWordファイルとして編集可能です。「LAWGUE」のOCR機能では、単純な文字列としてデータ化するだけでなく、不要な改行を除去したり、見開きページの順番を認識したり、体裁を認識したりすることができるので、すぐに編集可能なデータとして活用できます。

(5) 英文契約書にどれだけ対応しているか

海外との取引が多い場合には、和文英訳機能、英文契約書チェック機能などがあると便利です。「LeCHECK」では、英文契約書特有のリスクのレビュー支援に対応しており、法律文書をワンクリックで翻訳できる機能も搭載。英文の契約書が多く、翻訳の外注費やリードタイムに課題を感じている場合には特におすすめ。「LawFlow」のように、英語に加えて中国版のチェック機能を備えたサービスもあります。

(6) 業務効率化のための機能がどれくらいあるか

たとえば、「GVA assist」はWord拡張機能を備えており1画面内で修正作業が可能です。デスクトップ上に画面を複数開いて、行きつ戻りつという手間はかかりませんので効率的に作業ができます。そのほか、「LAWGUE」は契約書全体ではなく、条項ごとに切り分けてオンライン上でやりとりすることで、業務全体の効率化を図ることができます。

6. AI契約書レビューサービスの活用上の注意点

メリットの多いAI契約書レビューサービスですが、当然ながら万能というわけではないため、人とAIとで補完し合うことが大切です。以下の点に留意して、活用するようにしましょう。

レビューできる契約には限界がある

AI契約書レビューサービスは、年々対応範囲が広がっているものの、すべての契約類型・準拠法にレビュー対応しているわけではありません。複雑でアレンジの必要が多い投資契約や事業譲渡契約といった特殊な契約、また、絶対数の少ない契約などの場合は、アルゴリズムを開発するコストが大きすぎるため不向きです。

簡単な契約書レビューはAIに任せて、その分、上記のような契約書レビューに人的リソースを費やすなど、上手く使い分けしていきましょう。

ビジネス的な状況・背景を踏まえることはできない

日々AIのレビュー精度は向上していますが、現状、人間のように自社の製品・サービスの特性や締結先との力関係などビジネス的な側面を踏まえて判定することはできません。

ただし、「間違い・欠落」といったヒューマンエラーを起こす頻度は低いため、AIの得意なところと不得意なところをしっかりと理解した上で、「どうしたら互いに補完して効率よく業務を行えるか」を考えながら利用していくことが大切です。

7. おすすめのAI契約書レビューサービス・システム

サービス名 特徴 料金 詳細
LegalForce(株式会社LegalOn Technologies) 専任弁護士が監修を行うAI契約審査プラットフォーム。業種や組織規模を問わず、導入実績は3,500以上。契約書をドラッグして、契約類型・自社の立場を選択するだけで、自動でレビューを実施。契約書に潜む「不利な条文」「欠落条項」「抜け漏れ」などのリスクを網羅的に洗い出し、修正に必要な参考条文例や解説、更に過去の契約書なども瞬時に検索して表示。同一の画面内で手間なく修正できる。 弁護士が監修する書式・ひな形1,400点以上を標準搭載しており、作成もスムーズ。提携の法律事務所が常に最新の知見を加えているため、法改正や新しい判例対応の心配もいらない。 「ChatGPT」APIを活用した「条文修正アシスト機能」をリリース。契約書データがChatGPTの学習に使用されることはないため、セキュリティの観点からChatGPTの利用ができない場合にも適している。 要問い合わせ [LegalForce公式サイト](https://legalforce-cloud.com/)
GVA assist(GVA TECH株式会社) 自社の契約ナレッジを用いて、審査対象の契約書に潜むリスクの検知や条項の修正・コメント作成をスピーディーに行える契約書レビュー支援クラウド。レビュー可能な契約類型は300種類以上で、自社の契約書ひな型を類型として登録する際は上限がない。「過去に締結した契約書・条文例」「契約審査マニュアル」などのノウハウをクラウドに蓄積しておくことで、社内審査時にリアルタイムに参照が可能。 ナレッジパートナーが充実していることも特長。有斐閣「契約書作成の実務と書式 — 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版」が搭載されていたり、プレイブックのオプション条文として霞ヶ関国際法律事務所より国際仲裁に関する契約書の条文を提供されたりしている。 契約審査における「読む」「直す」「仕上げる」「ゼロから作る」4つの負担に対応する機能を網羅しており、オプション費用なしですべての機能を使える点も魅力。 月額75,000円/アカウント~、初期費用は要問い合わせ [GVA assist公式サイト](https://ai-con-pro.com/)
LAWGUE(FRAIM株式会社) エディタ(編集)機能に優れたオンライン型のAI搭載クラウドエディタ。文書作成時に発生しがちなインデントの乱れや表記揺れ、条番号や参照番号のズレを独自の特許技術により、リアルタイムに自動検出・自動補正可能。新旧対照表をワンクリックでWordに出力できるのも便利。非生産的な補正作業にかかる時間を大幅に削減し、本来の契約書のレビュー業務に集中できる。検索機能でも、不足している条項をAIがサジェストする特許技術を採用している。 Word形式の契約書ファイルを条項ごとに分割して取り込み、その条項ごとにオンラインでコミュニケーションできる。交わされたコメント・編集履歴は、後日、該当条項を再利用する際に参照可能。従来のWordとメールのやりとりに比較すると、業務全体の効率化を図れるとともに、企業として法務ノウハウの蓄積・ナレッジ管理の体制も強化できる。 要問い合わせ [LAWGUE公式サイト](https://lawgue.com/)
LeCHECK(株式会社リセ) 実績豊富な弁護士監修を強みとする、契約書レビューAIクラウド。英語をネイティブとする弁護士など、30名以上の各分野の専門弁護士によりレビュー品質を担保している。契約書ファイルをブラウザからアップロードするだけで、AIが瞬時に和文・英文契約書をチェック。不利な条項や抜け漏れなど、取引リスクとなる箇所を立場別に自動的に指摘して代替案を提示(自社基準でのチェックも可能)する。過去に締結済みの契約書の管理やタグ設定による検索、更新期限アラートにも対応。契約書作成に関しても、専門弁護士作成が作成した各種ひな型を利用できるため便利。 そのほか、Google Driveのアドオンにて動作するサービス「LeFILING」も展開。グループウェアにGoogle Workspaceを使っている場合は、ファイルの保存場所を変えることなく「ラベル」を使って契約書管理ができるようになるため、特におすすめ。 要問い合わせ [LeCHECK公式サイト](https://lisse-law.com/)
LawFlow(LawFlow株式会社) 登録数5,000アカウント突破、弁護士が開発した無料で使える法務AIサービス。「チェックできる契約類型を追加したい」、「法務部以外のメンバーにも使用させたいので、 契約書の保存ができないように制限したい」、「チェック結果のダウンロードファイルの様式を変更したい」など、組織の特色に合わせてカスタマイズが可能。元裁判官が監修したオンライン上のAIが、瞬時にリスクのある項目を検出し解説を行う。 無料でありながらも、秘密保持契約、業務委託契約、英文・中文NDAなど、43類型の契約に対応。法人向けエンタープライズプラン(こちらも無料)なら対応契約書を追加することもできる。更に、エンタープライズプランにおいては、保存数・アカウント数の上限もない。 無料 [LawFlow公式サイト](https://www.lawflow.jp/)
LFチェッカー(株式会社LegalOn Technologies) LegalForceが提供する、契約書レビューに特化したツール。機能を絞り月額9,000円で使えるリーズナブルな価格設定のため、高度な機能はまだ不要という場合におすすめ。秘密保持契約書・業務委託契約書などよく使用する契約書類型に対応しており、契約書をアップロードするだけで弁護士監修のAIが瞬時にチェック項目を表示する。 対応方針や、サンプル条文・関連する法的な情報などを自動レビューの結果として提示することで、修正の手間を大幅に削減。もちろん法改正に対応の上、セキュリティ対策も万全。安心して利用できる。 月額9,000円、初期費用なし [LFチェッカー公式サイト](https://checker.legalforce-cloud.com/)
インテリジェント契約チェッカー(NTTアドバンステクノロジ株式会社) レビューに特化したAI契約審査プロセス支援システム。契約書案をアップロードすると、NTT研究所が培った日本語の自然言語処理技術により、契約書の文書をフレーズに分解。文章の構成や表現方法に依存することなく、必要な条項の有無や注意すべき条項など、瞬時にチェックできる。項目はユーザーごとに設定できるため、自社審査ポリシーなどの条件に対応したレビューも可能。支社や部門ごとの契約書のチェックレベルを横断的に均一化することで、一貫したチェック体制を構築できる。現場担当者による契約書の一次チェックが可能となり、取引先とのスムーズな契約手続きを支援する。 要問い合わせ [インテリジェント契約チェッカー公式サイト](https://www.ntt-at.co.jp/product/ai-document/)

8. まとめ

AI契約書レビューサービスとは、AIが自動で契約書のリスクを洗い出してくれるサービス・システムです。導入することで次のようなメリットが期待できます。

  • 業務の効率化
  • 契約リスクの軽減
  • コスト削減
  • 契約締結スピードアップ
  • ノウハウの蓄積

現状は、すべての契約類型に対応できるというわけではありませんが、年々改善されており、対応領域も広がりつつあります。また、システム・サービスによってはリーガルチェックだけでなく「修正支援」「作成支援」「管理」まで幅広く対応できるものもあります。

導入を検討する際には、以下の比較ポイントを参考に、自社の要件に合ったサービスを探してみてください。

  • 自社の業務範囲に合っているか
  • よく使う契約類型・準拠法に対応しているか
  • 自社ポリシーにどれくらい合わせられるか
  • 契約書のファイル形式が合っているか
  • 英文契約書にどれだけ対応しているか
  • 業務効率化のための機能がどれくらいあるか

AI契約書レビューサービスをお探しの方は、ぜひこの記事を参考にして、自社にとって最適なサービスを見つけてください。