飲酒運転による事故を防ぎ、企業の安全運転管理を強化するため、アルコールチェックアプリの導入を検討している方も多いのではないでしょうか?

2022年4月の道路交通法改正により、一定台数以上の自家用自動車を所有する事業所へのアルコールチェックが義務化されました。さらに、2023年12月からはアルコールチェッカーの使用も義務化されました。

従来は、紙やExcelを用いてアルコールチェックの記録や管理を行っていた企業も多いですが、近年ではアプリとアルコールチェッカーを連携させることで、業務を効率化し、安全運転管理を強化できるアルコールチェックアプリが注目されています。

この記事では、アルコールチェックアプリ導入のメリットや、選び方のポイント、おすすめのアルコールチェックアプリ9選を紹介します。

さらに、各アプリの特徴を比較した表や、導入事例も掲載していますので、ぜひ参考にして、自社に最適なアプリを見つけてください。

1. アルコールチェックアプリ導入のメリット

アルコールチェックアプリを導入することで、様々なメリットが得られます。主なメリットは以下の3つです。

① 入力・管理業務の効率化

アルコールチェッカーの測定結果がアプリに自動で入力されるため、紙やExcelに記入する場合と比べて、ドライバーが記録を作成する時間を短縮できます。記録はクラウド上に保存され、端末から簡単にアクセスできるため、管理者側も保存・確認作業を効率的に行うことができます。

② コンプライアンスの遵守

アルコールチェックアプリで自動入力された数値は改ざんできないため、入力ミスや不正の防止に役立ちます。万が一、規定値を超えるアルコール量が検出された場合は直ちに管理者へ通知されるため、飲酒運転防止を徹底することができ、法令やコンプライアンスの遵守につながります。

③ ペーパーレス化

アルコールチェックアプリを導入すれば、記録はクラウド上に保存され、紙の記録簿が必要なくなるため、ペーパーレス化を実現できます。用紙代や印刷代、保管にかかる倉庫代等のコスト削減のほか、書類の紛失や盗難といったリスクの低減にもつながります。環境保護やSDGsの観点からもペーパーレス化は重要と言えるでしょう。

2. アルコールチェックアプリの選び方

アルコールチェックアプリを選ぶ際には、以下の4つのポイントを確認しましょう。

① アルコールチェッカーの種類

アルコールチェックには、アルコールチェッカーが必要となります。アルコールチェッカーには、測定方式や形状など、様々な種類があります。

  • 測定の精度
    • 仕事でアルコールチェッカーを使用する場合は、測定精度が担保された機器を選ぶことが非常に重要です。
    • 精度を大きく左右するセンサーには、半導体式ガスセンサーと電気化学式(燃料電池式)センサーの2種類があります。
    • アルコールを検知する仕組みの違いから、半導体式ガスセンサーよりも電気化学式センサーの方が精度が高いです。タバコの煙や歯磨き粉などから発生するアルコール以外の成分には反応せず、アルコールにのみ反応して濃度を測定できます。
    • 価格が高い傾向はあるものの、精度の高さを重視する場合は、電気化学式センサーを搭載しているものを選んでください。
  • タイプ(形状)
    • アルコールチェッカーには、ハンディタイプと据え置きタイプの2種類があります。
    • ハンディタイプはカバンやポケットに入れて、仕事・プライベート問わず手軽に持ち運べるメリットがあります。一方で、使用できる回数が決まっており、正確に把握していなかった場合、いざチェックしようとした時に使えないかもしれないというデメリットもあります。
    • 据え置きタイプは会社の事務所や営業所に設置して使用するタイプで、搭載している感知センサーを交換さえすれば、中長期的に使用できるのが強みです。しかし、据え置きのため携帯しにくく、ハンディタイプよりも手軽に測定できない点がデメリットです。

② アラート機能の有無

アルコールチェックは異常値が検出された時の対応が非常に重要です。測定した本人が自己申告する仕組みだと指導が遅れる可能性があるため、管理者がリアルタイムに測定結果を確認できる仕組みが望ましいでしょう。

管理者に即座にお知らせメールが送られる機能があると、リスクを最小限に抑えられます。

③ なりすまし防止機能の有無

測定者の顔を自動撮影する機能があれば、確実に本人が測定したことを確認・記録できます。位置情報を取得できる機能や免許証のチェック機能なども、なりすまし防止に役立つでしょう。

④ 費用

アルコールチェックアプリを選定する際には、費用がいくらかかるのかも非常に重要です。費用については以下のポイントを確認するようにしましょう。

  • 初期費用がかかるかどうか
    • 専用機器や初期設定が必要な場合などには、ランニングコストとは別に初期費用がかかる可能性があります。
    • 特に、車両管理一体型で動態管理機能があるアプリでは初期費用が必要になることが多いので、選定時には必ず確認するようにしましょう。
  • どのような料金体系なのか
    • 料金体系が事業所単位なのかID単位なのかもによって予算の立て方が大きく変わるため、確認しておきたいポイントです。
    • 利用人数によってはID単位のサービスだと割高になる可能性があります。
  • 最低利用期間や解約金
    • 最低利用期間が定められており、途中で解約する場合、解約金が発生するアプリもあるため注意しましょう。

3. アルコールチェックアプリおすすめ9選

ここからは、3つのタイプ別に、おすすめのアルコールチェックアプリを紹介します。自社に必要な機能を搭載したアプリを見つけるのにご活用ください。

車両管理一体型

まずは、アルコールチェックはもちろん、車両管理を行う上で必要となる様々な機能を搭載した「車両管理一体型」のおすすめアプリを紹介します。

① Bqey(ビーキー)
  • 参照元:Bqey<ビーキー>|社用車管理、まるっと解決
  • 強み:自動車部品メーカーとして車の鍵を製造してきた高い技術力を生かして開発した「デジタルキー」が強みです。これを活用することで、アルコールチェックの結果がNGの場合や、免許証や車検の有効期限切れの場合は、車の鍵が開かないようにすることができます。システムにより物理的に車に乗り込めない環境を作ることで、法令違反を確実に防ぎます。
  • 機能:車両予約・アルコールチェック・運行記録・稼働状況といった車両管理に必要な情報をクラウド上で一元管理できます。初期費用や初期工事が不要なのも嬉しいポイントです。
  • 詳細はサービス紹介資料をご確認ください。
  • アルコールチェッカーの種類:電気化学式・ハンディタイプ
  • アラート機能:○
  • なりすまし防止機能:○
② LINKEETH(りんきーす)
  • 参照元:テレマティクスサービス「LINKEETH」(りんきーす)|ドコモビジネス|NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
  • 強み:アルコールチェックサービスと連携することで、多岐にわたる車両管理業務を効率化できます。AI搭載通信型ドライブレコーダーを活用し、安全運転支援と車両運行管理をトータルに実現したサービスです。ドライブレコーダーの加速度センサーやAIを活用し、ドライバーの運転傾向をチェックでき、事故抑止、省燃費運転によるコスト削減を実現します。また、GPSを活用し、車両の位置や状態をリアルタイムにチェックすることができます。
  • アルコールチェッカーの種類:電気化学式・ハンディタイプ
  • アラート機能:○
  • なりすまし防止機能:○
③ Booking Car
  • 参照元:Booking Car – 社用車専用クラウドサービス
  • 強み:シンプルな画面で社用車の利用状況が「ひと目」でわかり、予約から利用開始・返却までスマホ1つで簡単操作できる、社用車利用ツールです。簡易アルコールチェッカーと組み合わせることで、アルコールチェック運用にも対応。運行記録と自動的に紐づくので、データ加工の作業も必要ありません。
  • アルコールチェッカーの種類:要確認
  • アラート機能:要確認
  • なりすまし防止機能:○

IT点呼一体型

次に、「IT点呼一体型」のおすすめアプリを紹介します。

④ IT点呼キーパー
  • 参照元:【公式】IT点呼キーパー|総合クラウド点呼システム|テレニシ株式会社 (tele-nishi.co.jp)
  • 強み:点呼結果の記録簿自動保存機能により、入力時間の短縮だけでなくデータ改ざん等による不正防止にも役立ちます。すべての点呼記録をクラウド上で一元管理できるため、管理者の業務負担を大幅に軽減することができます。1,600社以上の導入実績がある点も安心できるポイントです。
  • アルコールチェッカーの種類:電気化学式・ハンディおよび据え置きタイプ
  • アラート機能:要確認
  • なりすまし防止機能:要確認
⑤ e点呼PRO
  • 参照元:クラウド点呼 (tokai-denshi.co.jp)
  • 強み:運転者・管理者両方に顔認証機能があり、なりすましを防止します。また、同社のアルコールチェックシステムALC-PROⅡと連携することで様々な機能を追加することが可能です。IC運転免許証リーダーと組み合わせて免許証不携帯や有効期限切れを防止、血圧計・体温計と組み合わせて健康状態の一括管理等、フレキシブルに対応できる点が特徴です。
  • アルコールチェッカーの種類:電気化学式・ハンディおよび据え置きタイプ
  • アラート機能:○
  • なりすまし防止機能:○
⑥ Cagou IT点呼 for白ナンバー
  • 参照元:クラウド型IT点呼システム:Cagou IT点呼 for白ナンバー| 株式会社コア (core.co.jp)
  • 強み:対面・電話・IT・遠隔といった様々な方法でのアルコールチェックや点呼が可能です。点呼記録はもちろん、運転者の健康自己診断記録や顔写真もクラウド上で一括管理できます。顔認証+機器認証で個人を特定してなりすましを防止できる点や、購入したアルコールチェッカーを登録することで使用回数や保証期間も管理できる点が特徴です。
  • アルコールチェッカーの種類:電気化学式・ハンディタイプ
  • アラート機能:要確認
  • なりすまし防止機能:○

アルコールチェック特化型

最後に、「アルコールチェック特化型」のおすすめアプリを紹介します。

⑦ ALPiT
  • 参照元:アルコールチェック クラウド管理サービス「ALPiT(アルピット)」| アイリスオーヤマ (irisohyama.co.jp)
  • 強み:初期費用不要で、月額費用にアルコールチェッカー代が含まれています。無料トライアルができるため、使い勝手に不安がある方も気軽に試せるところが嬉しいポイントです。
  • アルコールチェッカーの種類:半導体式・ハンディタイプ
  • アラート機能:○
  • なりすまし防止機能:○
⑧ アルレポ
  • 参照元:アルコールチェック管理サービス『アルレポ』 – Report@(レポルタ) (navi-p.com)
  • 強み:5種類のBluetooth通信対応アルコールチェッカーと連携でき、Bluetooth非対応であってもOCR機能の文字読み取りにより様々なタイプのアルコールチェッカーの数値を自動入力することができるため、選択肢が広がります。運転者がアルコールチェックを行うと、管理者のスマートフォンに通知されます。管理者は複数の測定結果を一括承認することができるため、承認にかかる時間を短縮することができます。
  • アルコールチェッカーの種類:様々なタイプに対応
  • アラート機能:要確認
  • なりすまし防止機能:○
⑨ ALCクラウド
  • 参照元:クラウド型遠隔アルコールチェッカー | ALCクラウド (tripodworks.co.jp)
  • 強み:スリムなスティック型アルコールチェッカーで、持ち運びにも便利です。スマホのカメラと連動し、測定者の顔写真・測定値・測定日時を記録します。使い方が非常にシンプルなので、誰でも簡単に行える点が特長です。
  • アルコールチェッカーの種類:半導体式・ハンディタイプ
  • アラート機能:要確認
  • なりすまし防止機能:○

4. アルコールチェックアプリ9製品の比較表

上記で紹介したおすすめのアルコールチェックアプリ9製品を、以下の表にまとめました。アルコールチェッカーのタイプや機能面から各アプリを比較したい際に活用してください。

タイプ サービス名 アルコールチェッカーの種類 アラート機能 なりすまし防止機能
車両管理一体型 Bqey(ビーキー) 電気化学式・ハンディタイプ
車両管理一体型 LINKEETH(りんきーす) 電気化学式・ハンディタイプ
車両管理一体型 Booking Car 要確認 要確認
IT点呼一体型 IT点呼キーパー 電気化学式・ハンディおよび据え置きタイプ 要確認 要確認
IT点呼一体型 e点呼PRO 電気化学式・ハンディおよび据え置きタイプ
IT点呼一体型 Cagou IT点呼for白ナンバー 電気化学式・ハンディタイプ 要確認
アルコールチェック特化型 ALPiT 半導体式・ハンディタイプ
アルコールチェック特化型 アルレポ 様々なタイプに対応 要確認
アルコールチェック特化型 ALCクラウド 半導体式・ハンディタイプ 要確認

5. アプリを選ぶための3ステップ

各アプリの特徴や費用を踏まえて、自社に合ったアプリを選ぶためには、以下のような3ステップで選ぶとよいでしょう。

ステップ1:自社の抱えている課題を整理する

まず、自社の抱えている課題を明確にする必要があります。

  • アルコールチェックの記録や管理が煩雑で、業務効率が悪いと感じているか
  • 運転者からのアルコールチェック結果の報告が遅れてしまっているか
  • 従業員のアルコールチェックに関する意識が低いと感じているか
  • 直行直帰などの勤務形態で、アルコールチェックの管理が難しいと感じているか

ステップ2:課題を解決できる機能を探す

次に、整理した課題を解決できる機能が搭載されたアプリを探しましょう。

  • アルコールチェック結果の自動入力機能
  • クラウド保存機能
  • アラート通知機能
  • なりすまし防止機能
  • 運転日報機能
  • 車両予約機能
  • デジタルキー機能

ステップ3:アプリを選ぶ

最後に、費用対効果を考えながら、課題解決に必要な機能を満たしたアプリを導入しましょう。

  • 月額費用
  • 初期費用
  • アルコールチェッカーの価格
  • サポート体制

まとめ

今回は、アルコールチェックアプリについて解説しました。

アルコールチェックアプリには大きく3つのタイプがあり、様々な機能が搭載されています。まずは自社の抱えている課題を整理し、その課題を解決できる機能が搭載されたアプリを選ぶようにしましょう。

また、導入する前には、長期的な視点で見て費用対効果が得られるのか、導入前後のサポート体制が整っているのか、初期費用や初期工事が必要なのかなどを確認するようにしましょう。導入を決めた後は、社内で使い方を浸透させることも大切です。運転者と管理者、どちらにとっても使いやすいアプリを選ぶことを心掛けましょう。